訪問看護ステーションの資金繰り表の作り方|開業後の資金不足を防ぐ

訪問看護ステーションの経営では、帳簿上は利益が出ていても、入金より先に給与や家賃の支払いが来ることで資金が不足することがあります。開業直後は利用者数が安定せず、採用費などの臨時支出も発生しやすいため、損益計算だけでなく資金繰りの管理が欠かせません。

本記事では、開業後12か月を見通す資金繰り表の作り方と、毎月確認したいポイントを実務的に解説します。

資金繰り表とは

資金繰り表は、一定期間の現金の入金と支出を整理し、月末時点で手元資金がいくら残るかを確認する表です。売上と利益を見る損益計画とは役割が異なります。

訪問看護では、サービス提供月と実際の入金月にずれがあります。給与、社会保険料、家賃、車両費などは先に支払うため、月ごとの現金残高を確認する必要があります。

資金繰り表に入れる主な項目

前月からの繰越残高

月初に利用できる預金残高を記載します。事業用口座と個人資金を分け、事業として実際に使える金額を基準にします。

入金

保険請求による入金、利用者負担分、自費サービス売上、借入金、補助金などを、実際に入金される月へ計上します。売上を立てた月ではなく、口座へ入る時期で記載する点が重要です。

支出

給与、法定福利費、家賃、車両・駐車場、通信・システム、医療材料、採用、営業、借入返済、税金などを記載します。賞与、年払い保険料、車検、更新料など、毎月ではない支出も予定月に入れます。

翌月繰越残高

前月繰越残高に当月の入金を加え、支出を差し引いた金額です。残高がマイナスになる前に、支出時期の調整や追加資金の検討が必要です。

12か月資金繰り表の作成手順

1.固定費を先に整理する

まず、人件費、家賃、システム利用料、リース料など、売上にかかわらず発生する費用を月別に入力します。給与は額面だけでなく、事業者負担の社会保険料や各種手当も含めます。

2.利用者数と訪問件数から売上を見積もる

利用者数、1人あたりの月間訪問回数、1訪問あたりの平均単価を置き、月ごとの売上を計算します。標準ケースだけでなく、利用者獲得が遅れる慎重ケースも作ると安全です。

3.売上を入金月へずらす

算出した売上を、そのまま同じ月の入金にしないよう注意します。請求・審査・入金までの流れを踏まえ、実際に資金が入る予定月へ反映します。返戻や請求遅れも考慮し、売上の全額が予定どおり入る前提にしすぎないことが大切です。

4.臨時支出と返済を加える

採用広告、人材紹介料、備品購入、税金、賞与、借入返済などを予定月に加えます。採用が1人増えた場合、利用者増加が1か月遅れた場合など、条件を変えた試算も行います。

毎月確認したい3つの指標

月末現預金残高

最低でも数か月先まで支払いを続けられる残高があるか確認します。残高が減少し続ける場合は、黒字化の見込みだけでなく、資金が尽きる時期を具体的に把握します。

入金予定と実績の差

請求額と実際の入金額の差を確認し、返戻、請求漏れ、利用者負担金の未収などを早期に把握します。

人件費と売上の増え方

採用により支出が先に増える一方、新しい職員が訪問へ入れるまでには時間がかかります。採用時期と利用者獲得の計画を同じ表で確認しましょう。

資金不足を防ぐ運用のポイント

資金繰り表は開業時に一度作って終わりではありません。毎月、予定と実績を更新し、少なくとも3~6か月先までの残高を確認します。慎重ケースで資金不足が見込まれる場合は、早い段階で金融機関や専門家へ相談します。

開業資金全体の考え方は、関連記事「訪問看護ステーションの開業資金はいくら?初期費用・運転資金の目安」も参考にしてください。必要売上の計算は「訪問看護ステーションの損益分岐点とは?」で解説しています。

まとめ

訪問看護ステーションの資金繰り表では、売上ではなく実際の入金時期を基準にし、固定費、採用費、借入返済、臨時支出まで月別に整理します。標準ケースと慎重ケースを比較し、資金不足が起きる前に対策を検討することが重要です。

訪問看護の開業・経営をご相談ください

みなみ訪問リハビリサービスでは、訪問看護ステーションの開業・経営経験をもとに、売上計画、人件費、資金繰り、採用計画などの整理を支援しています。資金繰り表を具体化したい方は、お問い合わせフォームよりご相談ください。

※本記事は一般的な考え方を紹介するもので、融資、会計、税務上の個別判断を行うものではありません。具体的な手続きや判断は、金融機関、税理士などの関係機関・専門家へご確認ください。