家族ができる歩行の付き添い方|立つ位置・手の添え方・声かけのポイント

退院後や体力が落ちてきたとき、「歩くときに付き添ってあげたいけれど、どこに立てばいいのか分からない」という声をよく伺います。手を強く引っ張ったり、真横から腕を抱えたりすると、かえってバランスを崩す原因になることもあります。

この記事では、家族が歩行に付き添うときの基本を、立つ位置・手の添え方・声かけの3つに分けて紹介します。

基本は「やや後ろ・弱い側」に立つ

付き添うときは、本人のやや後ろ、体の弱い側(ふらつきやすい側)に立つのが基本です。前から手を引くと、本人の重心が前に引き出され、足が追いつかずに転びやすくなります。

付き添い方起きやすいこと
前から両手を引く重心が前に出て、足がもつれやすい
腕を強く抱え込む本人のバランスの取り方を妨げる
真横にぴったり並ぶ足が当たり、つまずきやすい
やや後ろ・弱い側に立つふらついたときに支えやすい

手の添え方

  • 片手は本人の腰のあたり(ズボンのベルト付近)に軽く添える
  • もう片方の手は、ふらついたときに肩や腕を支えられるように準備しておく
  • 本人が杖を使っている場合は、杖を持つ手の反対側に立つことが多い(体の状態によって異なります)
  • 手すりや家具につかまっているときは、無理に手を引かない

※体の状態によって適切な位置は変わります。不安がある場合は、担当の専門職に確認してください。

声かけのポイント

声かけは、本人が自分のペースで動けるようにするためのものです。急かす言葉より、次の動作を短く伝える言葉が役立ちます。

  • 「ゆっくりで大丈夫です」
  • 「次は右足から一歩出しましょう」
  • 「段差があります。手すりを持ちましょう」
  • 「少し休みましょうか」

場面ごとの注意点

屋内

方向転換のときにふらつきやすいため、急に向きを変えず、小さな歩幅で向きを変えるよう声をかけます。

屋外

歩道の傾きや段差、自転車などの周囲の動きに注意が必要です。歩く道を事前に確認し、休める場所(ベンチなど)を把握しておくと安心です。

段差・階段

段差の前では一度止まり、手すりを持ってから動くよう声をかけます。階段の付き添いは位置が変わるため、別の記事で詳しく紹介する予定です。

付き添う側の体も大切に

付き添う家族が無理な姿勢を続けると、腰や肩を痛める原因になります。自分の足を軽く開き、膝を少し曲げて構えると、支えるときに力を入れやすくなります。

実際の動きを見ながら、本人と家族それぞれに合った付き添い方を確認したい場合は、理学療法士がご自宅に伺う自費訪問リハビリもご活用ください。ご家族からのご相談も受け付けています。

よくある質問

Q. どのくらいの距離から付き添いを減らしてよいですか?

距離よりも、ふらつきの有無や、方向転換・段差で安定しているかが目安になります。担当の専門職と相談しながら、場面ごとに少しずつ見守りに切り替えていくと安心です。

Q. 本人が付き添いを嫌がる場合は?

すぐそばで支えるのではなく、少し離れた位置で見守る方法もあります。本人が「自分でできる」と感じられることも大切です。

Q. 転びそうになったときはどうすればよいですか?

無理に持ち上げようとせず、腰を支えながら一緒にゆっくり低い姿勢になると、けがを防ぎやすくなります。

まとめ

歩行の付き添いは、「やや後ろ・弱い側に立つ」「腰に軽く手を添える」「次の動作を短く伝える」の3つが基本です。本人のペースを大切にしながら、付き添う側の体も守りましょう。

※この記事は一般的な情報です。持病や痛みがある方、医師から運動や動作の制限を受けている方は、主治医や担当の専門職に相談したうえで取り入れてください。

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理学療法士 二宮聖人

この記事を書いた人

二宮 聖人(理学療法士)

M&R ウェルケアデザイン代表。理学療法士として15年以上、医療・介護・訪問分野でリハビリテーションに携わる。訪問看護ステーションの開業・経営の経験をもとに、浦安・湾岸エリアでの自費訪問リハビリと、訪問看護・介護事業所の経営支援を行っている。

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